催眠療法について

『催眠療法』は、過去の傷つき体験やその経験によって出来上がった思い込みやセルフ・イメージなどに気づき、それらを癒してくことで悩みの解消を目指す心理療法です。しかし『催眠』と聞いて、「なんか怪しぃ~」と思う人もいるのではないでしょうか?意識が完全になくなった状態で、誰かに暗示をかけられ、その人の思い通りに行動してしまうとか、過去のとんでもないトラウマ記憶が蘇ってくるとか…(確かに怖い)でもこれらのイメージは完全な誤解です。そこで今回は、あなたの悩み解決の為にもっと気軽に催眠療法を受けていただけるように、催眠療法について詳しく解説していきます。是非、最後まで読んでくださいね♪

目次

ヒプノセラピー(催眠療法)とは何か?

  ”無意識”に気づくと問題は解決する

注)この記事では「無意識」と「潜在意識」という2つの言葉を使っていますが、同義語と捉えてください。

 精神分析で有名なオーストリアの精神科医、ジグムント・フロイトは次のように言いました。

「無意識に気づくと問題は解決する」 

実はこの”無意識”という概念そのものを生み出したのもフロイトなのですが、彼は『神経症』と呼ばれる
心の病の症状は無意識に抑圧されている心の葛藤やトラウマとなるようはショックな体験などから形成されると考えました。

 私たちは日々生活していく中で、さまざまな悩みを抱えますが、
これらの悩みを生み出しているのは、物事に対する自分の捉え方や信じて疑わない価値観、
人や他人に対するネガティブなイメージだったりすることにお気づきでしょうか?
残念ながら、私たちはこれらのものを心の奥深く、”潜在意識”と呼ばれる部分に抱えているため、
自分では気づくことができない人も多いのです。

 

 潜在意識には、幼少期の家庭環境や人間関係、その人たちとの間で経験した様々な出来事の記憶、
それらの経験ややり取りから学んだことなどが収められています。子供の頃の出来事や経験は
顕在意識のレベルでは忘れ去られているものもたくさんありますが、潜在意識はすべて覚えています。

 

 この潜在意識の中にある過去の記憶にアクセスし、悩みの原因となっている物事に対する捉え方やセルフ・イメージなどを書き換え、悩みの解決を目指していくのがヒプノセラピーです。

 ”悩み”は”悩み”である必要なはい

 ある出来事に対する捉え方は人さまざまですよね。

例えば、あなたがとある会議でプレゼンをしたとしましょう。
ひと通り話し終わった後、参加者の一人から質問をされたあなた。
でもスムーズに答えることができず、しどろもどろになっていました。
すると、そばにいた同僚が代わりに答えてくれた。

あなたならこのような状況をどのように感じるでしょうか?
「助かった!」とホッとしますか?
それとも「みんなの前で恥をかいた」と落ち込むでしょうか?

「困ったときはお互い様。助け合うのは当然のこと。」という価値観を持っている人なら
同僚から助け舟を出してもらっても、「恥をかいた」とは感じないかもしれません。
しかし子供の頃に、先生の質問に答えられなくて同級生から笑われた経験を持っている
人だったとしたら?


会議での出来事は子供の頃の苦い思い出と重なり、否定的に捉えることも
想像にかたくありませんね。
更には、この出来事がきっかけで人前で話すことに苦手意識を持つようになったり、
仕事に行くことが嫌になってしまうかもしれません。

このように、私たちはある出来事がきっかけで悩みを抱えるむように
なることがありますが、実際のところ、出来事そのものに良いも悪いもありません。
過去の経験や価値観といった自分の”フィルター”を通して物事を捉え、
「嫌な出来事」「嬉しい出来事」というレッテルを貼っているだけなのです。


ということは、裏を返せば、ある出来事や経験をとらえる私たちのフィルターが変われば、
私たちが”悩み”と思っていることは、”悩み”ではなくなるわけです。

 

ですがここで一つ厄介な問題があります。
それは私たちは必ずしも自分のフィルターに気づいていない、ということ。
何かの状況に対して怒りや悲しみ、苛立ちなどの感情が湧いてきた時、
他人や環境のせいにすることはないですか?

そして「あの人が私にこんな態度を取るから腹が立つ!」と思っている時に、
「それはあなたの捉え方に問題がある」と誰かから言われたとしたら、
すんなり納得しますか?

逆に、そんなことを言われたら、言った相手に対しても腹が立つ!
なんてことになりそうですよね?
ましてや、気づいてもいないフィルターを変えるなんて不可能です。

ですから、フィルターを変えるためには、まずその存在に気づき、
それが出来上がる要因となった過去の経験にアクセスし、その記憶を書き換えたり、
心に負った傷を癒す作業が必要になるのです。
ちなみに、『フィルターを変える』というのは、『潜在意識を書き換える』ということです。

◉ 指令を出すのは顕在意識。実際の行動を牽引するのは潜在意識 

 先ほど、私たちは自分の悩みを生み出すきっかけとなっている
”フィルター”に気づいていないことが多い、と言いました。
気づいていないことは変えようがないのは当然ですが、ではフロイトが言ったように
気づきさえすれば変わるのでしょうか?

仮にあなたがなんとなく自分の”フィルター”に気づいていたとします。
例えば、「過去にいじめられた経験があるせいで、自分はどうしても人を信用できない。
だから人間関係がうまく築けない」といったように、自分が抱えている問題の原因を
頭で理解していたとしても、だからと言って、簡単に人を信用できるようにはなれません。

「わかっているけどやめられない・・」
「変えたいのにどうしても変えられない」

そんな悩みを多くの人が抱えています。
「甘いものは身体に悪いから控えよう」と頭では思ってるのに、
ついコンビニスイーツに手が伸びてしまう、とか。
なんでこんなことになるのでしょうか?意志が弱いからでしょうか??

いえいえ、
『指令を出すのは顕在意識(「甘いものは控えなさい」)。
しかし実際の行動(つい、手が伸びちゃう)を牽引しているのは潜在意識』
だからです。

この図を見てください。
私たちの心の氷山に例えた絵です。どこかで見たことがある人もいるかもしれませんね。

ご存知のように、私たちの心は大きく『顕在意識』と『潜在意識』とに分けられます。
顕在意識の働きとは、言葉や思考、理性や判断などで
「”頭では”甘いものを控えようと思っている」という”頭”は、まさに私たちの思考のことです。

一方、潜在意識は記憶や身体感覚、直感などを司ります。
「甘いものを食べるとものすごく幸せな気持ちになる」といった感覚や
過去の経験の記憶は潜在意識の管轄なのです。
そしてそう言った過去の経験や身体感覚が私たちの行動に与える影響力はとても強いのです。

図を見ても分かるように、潜在意識の割合は顕在意識に比べると広範囲ですから
影響力が強いのも当たり前と言えば当たり前。

ですから、顕在意識と潜在意識が同じ方向を向いていれば問題はないのですが、
顕在意識で考えていることに潜在意識が同意していなければ、
顕在意識の望む方向には行けないのです。


「ダイエットに成功してモテるようになりたい!」と強く願っているつもりでも、
「私は誰からも愛されない」という思いが潜在意識に深く刻み込まれていれば、
いつまでたっても本気でダイエットに取り組めるようにはならない、というわけです。

 

 潜在意識ってなんだか厄介な存在のように思えなくもないですが、
潜在意識は一定の原理原則に従って動いています。その原理原則は色々ありますが、
ここでは催眠療法を理解する上で重要と思われるものだけピックアップしてお伝えします。


◉ 潜在意識を味方につけたいなら、まずはその性質を理解しよう

潜在意識には以下のような特徴があります:

・潜在意識は「痛み」を避け、「快」を求める
・潜在意識は変化を嫌う
・潜在意識は安心・安全を最重要視する
・潜在意識には過去の記憶が全て貯蔵されている

 「顕在意識」の指令に耳を傾けず、私たちの悩みの原因となるような行動を
先導してしまう「潜在意識」。
ですが実を言うと、「潜在意識」は基本的に私たちを危険から守り、
痛みを避け心地よい”快”の状態に留まらせようとしてくれているのです。

過去に人前で話をして恥をかいた経験がある人は、
人前で話すことに苦手意識を持つことで辛い経験を繰り返すリスクを避け自分を
守ることができます。

甘いものを控えたいのに控えられない人は、
1日の終わりに幸福感を味わえる別の方法を見つけ習慣化するまでの間、
甘いものを我慢しなくてはいけないという一時的な苦痛を避け快の状態に留まっているのです。
(「また食べてしまった」という自己嫌悪感という不快な感情も
同時に味わうことになるのですけどね・・)。

もちろん、当の本人たちは「顕在意識」のレベルでは「苦手意識を克服したい」
「甘いものをやめたい」と切に願っています。そうすれば、もっと人間関係を楽しめるだろうし、
仕事のチャンスも広がるかもしれない。自分に自信を持てるようになり、おしゃれももっと
楽しめるようになるかもしれない。

ですが、人前に出るとどしても緊張して足が震え冷や汗が出てくる。
甘いものが頭をよぎると頭を離れなくなり、食べるまでは落ち着かない・・
こんな潜在意識レベルの身体反応が現れることを私たちは自分の意思で止めることはできません。
そして自分の「意志」とは裏腹な行動をとってしまうのです。

変化すること、つまり、これまでとは違った行動をとることが、
自分にとってより良い未来への扉を開くことになるとしても、現状にとどまることの方が
確かにリスクは低いし安心安全で楽!
そんな原理原則で動く潜在意識のパワーは圧倒的に強い、ということを
実感していただけましたか?

ここまで読むと、自分を変えるとか、よくない習慣を手放すなんてことは
ほぼ不可能に近いような気もしてきたかもしれませんが、潜在意識にアクセスし
書き換えてくれるのがヒプノセラピーです。
では、実際に、ヒプノセラピーってどんなことをするのでしょうか?

ヒプノセラピーの実際

◉ 催眠についての誤解

 ヒプノセラピーの具体的な流れややり方について説明する前に、
まずはヒプノセラピーに対する誤解を解いておきたいと思います。
これを読むと、「催眠状態」と言われる状態がどんな感じなのか、
何となくイメージがつくと思いますので。

冒頭で「催眠」と聞くと「なんか怪し~」と思う人もいるのでは?とお話ししました。
そこで、ヒプノセラピーを正しく理解してもらうために、お伝えしたいことが2つあります。

まず「催眠状態=意識がなくなる」ではない、ということです。
催眠状態になっても意識はちゃんとあります。ですが、通常の覚醒状態よりは
ものすごくリラックスした状態。ちょうど眠りに落ちる寸前の、意識はあるけど、
普段とはちょっと違う寝ているんだか起きているんだか、なんかよくわからない…
そんな状態です。

このような極度にリラックスした状態にある時、私たちの顕在意識と潜在意識の間にある
”クリティカル・ファカルティー”と呼ばれる膜のようなもの(実際に膜があるわけではありませんが)が
薄くなって、潜在意識にある過去の記憶にアクセスしやすくなると言われています。

私のヒプノセラピーを受けいただいた方も、「なんか不思議な感覚だった」を言われる方が結構います。
「質問されたことに対して、言葉やイメージがふわっと浮かんできました」と。
これらの言葉やイメージがまさに潜在意識にあるないようなのです。


あまりにリラックスしすぎて、一瞬、眠りに落ちてしまう人がたまにいるようですが(💦)。
基本、「催眠状態=意識がない状態」ではありません。
これがまず1つ目に伝えておきたいことです。

 

 そして2つ目。
催眠状態は、催眠にかかる人が意図しないとかからない、ということ。


言い換えれば、催眠なんて、絶対にかかりたくない!と強い抵抗を感じている人を
その人の意思に反して催眠状態にすることはできません。
ですので、催眠療法を受ける人は、催眠状態に入れるようにように、
セラピストの誘導に従ってしっかり心と身体をリラックスさせましょう。

もちろん、クライエントさんがリラックスできるように誘導するのは
セラピストの腕にもかかっていますが(^^;)
いずれにしろ、催眠状態に入るためには、受ける人が催眠に入る意思を持つことが大切です。

また、催眠状態は経験を積めば積むほど入るのが”上手に”なっていきます。
つまり、催眠状態になることも練習することによって獲得できる一種のスキルのようなもの、
と言えなくもないです。

私も最初にこのことを先生から聞いた時は少し驚きましたが、実際のところ、
確かに回を重ねるごとに、より短時間でより深く催眠状態に入ることができるようになり、
セラピストから質問されることに対して頭で考えるというよりも、イメージや言葉が
ふわっと浮かんでくるのをリラックスして待つことができるようになりました。

いかがですか?

なんか想像していたのと違う、と感じたかもしれませんが、ヒプノセラピーを受ける上で
催眠状態について正しく理解しておくことはとても大切なことです。

それではいよいよ、催眠療法について具体的に見ていきましょう。
私が提供している催眠療法は主に2つ。年齢退行療法と前世療法です。

まずは年齢退行療法から説明していきます。

◉ 年齢退行療法

 私たちは幼い頃のさまざまな経験や出来事、人間関係を通して、
「自分とはこういう人間である」といったセルフ・イメージや「人間とはこういうものだ」という
世の中全般に対するイメージ、「~であるべき」「~すべきではない」といった価値観を
作り上げていきます。

例えば、ある人が幼い頃、兄や姉には新しい洋服やおもちゃを買ってくれたのに
自分はいつもお下がりのものしか与えてもらえなかったという体験があり、
「私は両親から愛されなかった」という思いを抱え生きてきたとしましょう。

このような思いは、大人になってからも「どうせ私は誰からも愛されない」という
思い込みへと発展し(これはよくあるフィルターの一つで「親から愛されなかった」
→「誰からも愛されない」と飛躍させて出来上がるフィルターです)、
それが原因で人間関係がうまく築けなくなる…。

 

 年齢退行療法では、辛い体験をした幼い頃の自分に戻り、そこで感じた怒りや
悲しみなどの感情を再体験してもらいます(あまりにも辛すぎて過去に戻りたくない場合、
強制的に戻ったりすることはありませんのでご安心ください)。

また、「人格交代」というテクニックを使って、例えばお母さんの中に入ってみて、
その当時のお母さんがどんな思いでいたのか、家庭内がどういう状況だったのかなどを
聞いたりします。そしてお互いに伝えていなかった思いを伝えたり、子供の頃の傷ついた心を
癒してもらったりするのです。

ちなみに、自分以外の人間(例えば、父や母、祖母など)の中に入って
セラピストから色々質問されると、幼い頃の自分が知る由もなかったような当時の状況や
相手の想いが語られることがあります。

というのも、潜在意識は、個人の記憶だけでなく全人類のありとあらゆる記憶を
持っていると言われており、更には、個人の潜在意識は「集合無意識」(これはスイスの精神科医、
ユングが提唱した概念)で繋がっているとも言われています。

ですから、人格交代を通して両親や兄妹など自分にとって重要な人物と対話することで、
相手の立場で過去の出来事を捉え直すことができ、「私は愛されなかった」という思い込みが
書き変わったり、怒りや悲しみの感情が和らいだり癒やされたりするのです。

人格交代することで、思い込みを修正したり心の傷が癒やされれば良いのですが、
時にはそうでないこともあります。人格交代をした相手が、傷ついる子供の頃の気持ちを
どうしても理解してくれない時などがそうです。

そう言った場合には、傷つきを抱えている幼いクライアントさん、すなわち、その方の
”インナーチャイルド”を、大人の(現在の)クライアントさんに癒してもらいます。

新しい服やおもちゃを買ってもらえなかった悲しさ、悔しさの感情をしっかりと
受け止めてあげることで「誰からも愛されない自分」というイメージを溶かしていくのです。
誰にもわかってもらえなかった辛い気持ち、そのせいでいまだに孤独を抱え苦しんでいる
インナーチャイルドをしっかりと受け止めてもらうことで得られる癒しの効果は
体験してみないとピンと来ないかもしれませんが、イメージの中で幼い自分をギュッと
抱きしめる時、ほとんどのクライアントさんは涙を流されます。

これが年齢退行療法の概要です。

◉ 前世療法

 「前世療法」は、アメリカのブライアン・L・ワイス博士が、恐怖症に苦しむ
ある患者さんの年齢退行療法を行なっている時に、恐怖症の原因となっている過去に
戻るよう誘導したところ、その患者さんが約4000年前の自分の前世について語り出したのが
きっかけで始まったヒプノセラピーです。

その後、ワイス博士は様々な患者さんに前世療法を実施し、私たち皆、70〜80回くらい
輪廻転生を繰り返していると考えるようになったようです。そしてこれらの前世の
全ての記憶が潜在意識の中には収められているのです。

ほとんどの人は、顕在意識のレベルでは自分の過去生を覚えていないでしょう。
ですから、前世療法で、「あなたの過去生に戻りますよ。さあ、今どこにいますか?」
などと質問されても「そんな質問に答えられるわけがない」と思うかもしれません。
ですが、先ほども言ったように、深い催眠状態に入りリラックスしていると、
不思議とイメージが湧いてきます。

 

この時、「これって本当かな?」と言った疑念が湧いてくるかもしれませんが、
これが事実なのかどうかは全く重要ではありません。最も大切なことは、
今、あなたが抱えている悩み解決のヒントとなるような自己理解や気づきを得ることです。
だから、浮かんできたイメージや言葉が本当に自分の前世に起こったことなのか?
ということよりも、潜在意識が見せてくれることを信じれば良いのです。

また、前世療法では年齢退行療法と違って、前世で起こった出来事によって心に負った
傷やネガティブな感情を癒すことはしません。だってそれはもう終わってしまった人生だから。
ですが、そこには様々な教訓や学びがあります。それらを踏まえて今世の人生のテーマを
理解したり、今世の人生をよりよく生きるための糧にすることが前世療法の目的です。
前世の自分からどんなメッセージを受け取れるのかが前世療法の醍醐味と言えると思います。

終わりに

いかがでしたか?

潜在意識が書き換われば、悩みを生み出していたネガティブな思考パターンや行動パターン、
長年、癒されずにいた怒りや悲しいの感情が和らぎ、もっと楽に自分らしく
生きていけるようになります。

『ヒプノセラピー』や『潜在意識』の仕組みについて、少しでも理解していただけるよう
一生懸命にこの記事を書いたつもりですが、やはり百聞は一見にしかず。

まずはお気軽にお問い合わせください。

 

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